ABAP SDK for Google Cloud を使用して Cloud Pub/Sub にイベントを公開する

1. はじめに

この Codelab では、ABAP SDK for Google Cloud を使用して Google Cloud Pub/Sub API にイベントをパブリッシュする手順を説明します。

この Codelab では、次の Google Cloud サービスを使用します。

• Pub/Sub
• Cloud Shell

作成するアプリの概要

学習内容は次のとおりです。

• Google Cloud プロジェクトで Pub/Sub を有効にする。
• Pub/Sub トピックを作成する。
• メッセージをパブリッシュします。

2. 始める前に

• システムに ABAP SDK for Google Cloud がインストールされている。新しいシステムを設定するには、Codelab の Install ABAP Trial on Google Cloud Platform を参照してください。
• Google Cloud 上で動作するコマンドライン環境の Cloud Shell を使用します。Cloud コンソールで、右上にある [Cloud Shell をアクティブにする] をクリックします。

• 次のコマンドを実行して、アカウントの認証を行い、デフォルト プロジェクトを abap-sdk-poc に設定します。ゾーン us-west4-b を例として使用します。必要に応じて、次のコマンドのプロジェクトとゾーンを好みに合わせて変更してください。

gcloud auth login
gcloud config set project abap-sdk-poc
gcloud config set compute/zone us-west4-b

3. 概要

この Codelab の範囲には、Pub/Sub サービスの次のコンポーネントが含まれます。

• パブリッシャー（プロデューサー）: 特定のトピックに関するメッセージを作成してメッセージ サービスに送信（パブリッシュ）します。
• メッセージ: メッセージング サービスを通って移動するデータ。
• トピック: メッセージのフィードを示す名前付きエンティティ。

4. Pub/Sub サービスを設定する

1. 必要なロールを持つサービス アカウントを作成するには、Cloud Shell ターミナルで次のコマンドを実行します。

gcloud iam service-accounts create abap-sdk-pubsub-tester --display-name="Service Account for PubSub"

2. Pub/Sub API をサービス アカウント（abap-sdk-poc）で有効にするには、Cloud Shell ターミナルで次のコマンドを実行します。

gcloud services enable pubsub.googleapis.com

3. トピックを作成できるように、サービス アカウントに IAM ロール pubsub.topics.create を付与します。Cloud Shell ターミナルで次のコマンドを実行します。

gcloud endpoints services add-iam-policy-binding pubsub.googleapis.com \ --member='serviceAccount:[e-mail]' \
--role='roles/roles/pubsub.topics.create'

4. トピックにメッセージを公開できるようにするには、サービス アカウントに IAM ロール pubsub.topics.publish を付与します。Cloud Shell ターミナルで次のコマンドを実行します。

gcloud endpoints services add-iam-policy-binding pubsub.googleapis.com \ --member='serviceAccount:[e-mail]' \
--role='roles/roles/pubsub.topics.publish'

5. ロールが追加されたことを確認するには、[IAM] ページに移動します。作成したサービス アカウントと、そのサービス アカウントに割り当てられたロールが一覧表示されます。

5. クライアント キーを構成する

/GOOG/CLIENT_KEY テーブルで構成を維持するには、次の操作を行います。

1. SAP GUI で、トランザクション コード SPRO を入力します。
2. [SAP 参照 IMG] をクリックします。
3. [ABAP SDK for Google Cloud] > [Basic Settings] > [Configure Client Key] をクリックします。
4. [New Entries] をクリックします。
5. 次のフィールドに値を入力します。

フィールド	説明
Google Cloud キー名	PUBSUB_DEMO
Google Cloud サービス アカウント名	[e-mail]
Google Cloud のスコープ	https://www.googleapis.com/auth/cloud-platform
Google Cloud プロジェクト ID	abap-sdk-poc
認可クラス	/GOOG/CL_AUTH_GOOGLE

その他のフィールドは空白のままにします

6. トピックを作成する

API スタブ /GOOG/CL_PUBSUB_V1 のメソッド CREATE_TOPICS を使用してトピックを作成します。メソッドのシグネチャ:

1. SAP GUI で、トランザクション コード SE38 を入力します。
2. ZPUBSUB_DEMO という名前のレポートを作成します。
3. 表示されたポップアップで、次の図のように詳細を入力し、[保存] をクリックします。

4. 次のポップアップで、必要に応じて [Local Object] を選択するか、パッケージ名を指定します。
5. ABAP エディタで、次のコードを追加します。

" Data Declaration
DATA:
  lo_client        TYPE REF TO /goog/cl_pubsub_v1.

TRY.
    " Open HTTP Connection
    CREATE OBJECT lo_client EXPORTING iv_key_name = 'PUBSUB_DEMO'.

    " Populate relevant parameters
    DATA(lv_p_projects_id) = CONV string( lo_client->gv_project_id ).
    DATA(lv_p_topics_id) = CONV string( 'PUBSUB_DEMO_TOPIC' ).

    " Call API method pubsub.topics.create
    lo_client->create_topics(
      EXPORTING
        iv_p_projects_id = lv_p_projects_id
        iv_p_topics_id   = lv_p_topics_id
      IMPORTING
      es_output        = DATA(ls_output)
      ev_ret_code      = DATA(lv_ret_code)
      ev_err_text      = DATA(lv_err_text)
      es_err_resp      = DATA(ls_err_resp) ).

    IF lo_client->is_success( lv_ret_code ) = abap_true.
      DATA(lv_msg) = 'Topic ' && ':' && lv_p_topics_id && ' was created!'.
      MESSAGE lv_msg TYPE 'I' .
    ELSE.
      MESSAGE lv_err_text TYPE 'E'.
    ENDIF.

    " Close HTTP Connection
    lo_client->close( ).

  CATCH /goog/cx_sdk INTO DATA(lo_exception).
    MESSAGE lo_exception->get_text( ) TYPE 'E'.
    RETURN.
ENDTRY.

6. レポートを保存して有効にします。
7. レポートを実行します（F8）。

実行が成功すると、次のようなレポート出力が表示されます。

7. トピックにメッセージをパブリッシュする

トピックの準備ができたので、データを送信することに集中できます。次のステップでは、このトピックにメッセージをパブリッシュする方法を学習します。メッセージは、API スタブ /GOOG/CL_PUBSUB_V1 のメソッド PUBLISH_TOPICS を使用してトピックにパブリッシュされます。

メソッドのシグネチャ:

1. SAP GUI で、トランザクション コード SE38 を入力します。
2. ZPUBSUB_DEMO_PUBLISH という名前のレポートを作成します。
3. 表示されたポップアップで、次の図のように詳細を入力し、[保存] をクリックします。

4. 次のポップアップで、必要に応じて [Local Object] を選択するか、パッケージ名を指定します。
5. ABAP エディタで、次のコードを追加します。

" Data Declaration
DATA:
  lo_client        TYPE REF TO /goog/cl_pubsub_v1,
  ls_message       TYPE /goog/cl_pubsub_v1=>ty_025,
  ls_input         TYPE /goog/cl_pubsub_v1=>ty_023.

TRY.
    " Open HTTP Connection
    CREATE OBJECT lo_client EXPORTING iv_key_name = 'PUBSUB_DEMO'.

    " Populate relevant parameters
    DATA(lv_p_projects_id) = CONV string( lo_client->gv_project_id ).
    DATA(lv_p_topics_id) = CONV string( 'PUBSUB_DEMO_TOPIC' ).

    ls_message-data = cl_http_utility=>encode_base64( unencoded = ' This message was published to topic' ).
    APPEND ls_message TO ls_input-messages.

    " Call API method : pubsub.topics.publish
    " This method publishes the message(encoded in base64 format to the topic )
    lo_client->publish_topics(
     EXPORTING
       iv_p_projects_id = lv_p_projects_id
       iv_p_topics_id   = lv_p_topics_id
       is_input         = ls_input
     IMPORTING
       es_output        = DATA(ls_output)
       ev_ret_code      = DATA(lv_ret_code)
       ev_err_text      = DATA(lv_err_text)
       es_err_resp      = DATA(ls_err_resp)  ).

    IF lo_client->is_success( lv_ret_code ) = abap_true.
       DATA(lv_msg) = 'Message was published to topic '  && ': ' &&         lv_p_topics_id.
      MESSAGE lv_msg TYPE 'I' DISPLAY LIKE 'S'.

    ELSE.
      MESSAGE lv_err_text TYPE 'E'.
    ENDIF.

    " Close HTTP Connection
    lo_client->close( ).

  CATCH /goog/cx_sdk INTO DATA(lo_exception).
    MESSAGE lv_err_text TYPE 'E'.
    RETURN.
ENDTRY.

6. レポートを保存して有効にします。
7. レポートを実行します（F8）。

実行が成功すると、次のようなレポート出力が表示されます。

8. 完了

これで、ABAP SDK for Google Cloud を使用して、Google Cloud Platform の Pub/Sub API にメッセージをパブリッシュしました。

次の Codelab に進んで、ABAP SDK を使用してさまざまな Google Cloud サービスにアクセスする学習を続けてください。

• Cloud Pub/Sub からイベントを受信する
• チャンクを使用して Cloud Storage バケットにファイルをアップロードする
• ABAP から Vertex AI test-bison を呼び出す
• . . .

9. クリーンアップ

ABAP SDK for Google Cloud に関連する追加の Codelabs を続行しない場合は、クリーンアップに進んでください。

プロジェクトを削除する

注意: プロジェクトを削除すると、次のような影響があります。

• プロジェクト内のすべてのものが削除されます。このドキュメントのタスクで使用した既存のプロジェクトを削除すると、そのプロジェクトで行った他の作業もすべて削除されます。
• カスタム プロジェクト ID が失われます。このプロジェクトを作成したときに、将来使用するカスタム プロジェクト ID を作成した可能性があります。そのプロジェクト ID を使用した URL（たとえば、appspot.com）を保持するには、プロジェクト全体ではなくプロジェクト内の選択したリソースだけを削除します。

複数のアーキテクチャ、チュートリアル、クイックスタートを確認する計画がある場合は、プロジェクトを再利用すると割り当て上限を超えることはありません。

• Google Cloud プロジェクトを削除します。

gcloud projects delete abap-sdk-poc

リソースを個別に削除する

1. コンピューティング インスタンスを削除します。

gcloud compute instances delete abap-trial-docker

2. ファイアウォール ルールを削除します。

gcloud compute firewall-rules delete sapmachine

3. サービス アカウントを削除します。

gcloud iam service-accounts delete \
    [e-mail]